ちょっとひとやすみ3
生理用ナプキンは
在宅現場では褥瘡(床ずれ)などの傷の手当てに使われることがとてもよくあります。
普通のガーゼよりも
吸水性があって
安価であるからが一番の理由です。
さらに
普通の日用、多い日用、パンティーライナー…などなど
女性なら分かると思いますが、吸水量が多種多様です。
これによって傷の浸出液(傷から出てくる汁)の量に応じて生理用パッドの種類を細かく変えることができるのです。
さらにさらに
最下部がビニル素材なので、浸出液が衣服に付着するのも防げる。
まさに万能ですね。
もはや仕事中は
生理用ナプキンは傷の処置物品としてしか見えていません。
そんな万能ナプキンさんを
先日、ある訪問看護スタッフが
訪問先で使うためにデスクの上に数個そのまま置きっぱなしにしていました。
そこへ事務の女性が
「何これ!!誰がこんなのそのまんま出しっぱなしにしたの!?しまっておいてよ‼」
と言っていた。
その指摘に
ああ、そりゃあそうだ
と気づきました。
看護師としての私たちは「普通の感覚」を失いがちなのでしょう。
改めて考えると、
この生理用ナプキン、
まず、普通に丸ごと持ち歩きませんよね。ポーチなどに入れてカバンにしまって持ち歩くのが女性のエチケットですね。私も幼いころ母によく言われました。
それが丸ごとデスクに放置しておけるというありさま。
そして
傷の手当のために介護者の方によく購入を依頼するのですが
介護者が男性の場合
すごく買いづらいですよね。
男性は吸水量とか、サイズとか、なじみがなくてよくわからないと思うので
売り場でずらーっと並んだ商品をいくつか手に取って吟味することになると思います。
それは大変な苦行ですね。羞恥の極みですね。罰ゲームですね。
きっとほかのお客さんに変な目で見られるでしょう。
それなのに、当たり前のように「今度薬局で買ってきてくださいね~」とか
私は深く考えもせずに普段言ってしまってはいないだろうか…。
専門職にとって「普通の感覚」を持つというのは
とても大事なことだけど、
すぐに忘れてしまいがちです。
介護を全力で応援したいけれど、
介護をしている方たちの立場に立っていないと、
とんちんかんなメッセージになってしまう。
やもすると応援のつもりがかえって負担やただの耳障りになることもあるでしょう。
そういうことなのだと自分を戒めました。
私は介護の大変さを真には知りません。私は自宅で介護をした経験がありません。
ただ看護師として仕事をしてきたに過ぎません。
「経験していないあなたにはわからないでしょう。」と言われたら返す言葉もありません。
ですが、
今までたくさんの介護を頑張っている人たちを見てきました。
たくさんの介護の知恵をいただいてきました。
それを、広めたい。
看護師としての知恵をひけらかすのではなく
今までいただいてきた知恵をみなさんに広めたい
そう思っています。
だからこそ「普通の感覚」を忘れないよう、自分に言い聞かせたいと思います。