訪問看護師まさこの介護全力応援日記

介護を少しでも楽に!をコンセプトに、介護に奮闘しているみなさまを一人で全力応援しています。

高齢の方への保湿剤の使い方。~効率的に使って節約する方法~

  徐々に気温が下がってきて、少しずつ空気の乾燥を感じる季節になってきましたね。

 

つい昨日、訪問先で、

高齢の方の足(特にすねのあたり)を見たら、乾燥で粉がふいている…。

もうそんな時期になったのか!乾燥対策をしなくては!と実感しました。

 

肌は一年中、保湿剤を使用して保護してあげるのがベストですが、夏はべたついたり、すぐに汗で落ちてしまうことを理由になんとなく使用頻度が減っていました。今の時期は(保湿剤)塗らないでいいよ、と仰る方も多かったです。

 

でもいよいよ来ましたね。乾燥が目立つ季節。今からの対策が重要です。

 

 

乾燥には、保湿剤の塗布が一番です。

なぜかというと、乾燥すると皮膚のバリア機能がうまく働かず、

そうすると少しの刺激で皮膚が破れたりして傷ができてしまう可能性があるからです。

普段私も、保湿剤のこまめな塗布をおススメしています。

 

ですが、頻繁にいたるところに塗っていると

保湿剤、すぐ無くなりますよね…。

またこれが経済的に痛いところです。

 

そこで効果的にかつ経済的に保湿剤を使用する方法を提案します。

 

まずは、効果的に保湿剤を使用するために重要なことがあります。

 

それは肌に適したタイプの保湿剤を選ぶことです。

 

保湿剤と一言で言っても、さらっとしてべたつかないローションタイプや

こってりとしてしばらく保湿効果が残るクリームタイプなどいろいろありますね。

またワセリンは安価で手に入りやすく、よく店頭で目にしますね。

どのタイプが適しているかを考える必要があるのですが、

簡単な使い分けの考え方があります。

 

それは皮膚の状態から、判断する考え方です。

 

皮膚の乾燥が強ければ、より水分を多く欲している状態なので、

ローションタイプを選びましょう。

 

皮膚が薄いなら、塗るときの摩擦が少なくて済むよう、

ローションタイプを選びましょう。

 

皮膚が過敏ですぐ赤くなってしまうなら

クリームタイプを選びましょう。なぜならローションタイプは使用感がさらっとしている、つまりすぐに気化する(蒸発する)ということなので

アルコールが多少なりとも含まれています。

それが皮膚への刺激となってしまう可能性があるからです。

 

それでもなお、乾燥が目立つ、改善しないのであれば

ローションタイプやクリームタイプの保湿剤を塗ったあとに

ワセリンを重ね塗りしましょう。

 

ワセリンは「保湿剤」ではありません。

ただの油の膜です。「保護剤」と言ったほうがわかりやすいかもしれません。

ですので、粉をふいているような乾燥がひどい場合にワセリンだけを塗っても

皮膚そのものに水分を与える役割はないので、あまり状態は改善しません。

ですので私は、ワセリンは重ね塗りに活用することをおすすめします。

これについては、もう少し先のほうで詳しく解説しますね。

 

ちなみに細かいことを言うと

クリームタイプの保湿剤にもワセリンが混ざっていることがよくあります。

これは水分を与えて、そのあとその水分を逃がさないようにするためにワセリンが入っています。クリームタイプがべたつくのはワセリンのしわざであることも考えられます。

 

上記のような流れで、適した保湿剤を選びます。

 

うまく選べない場合は、訪問看護師などに聞いてくださいね。

また、薬局の薬剤師さんもよく相談にのってくれますので店頭で聞いてみてください。

 

次に、経済的に保湿剤を活用するポイントを挙げていきます。

 

 

1.保湿剤は安価なもので問題なし。質はそこそこ、量重視!

 

 値段が高いとこまめに使う習慣がつかなくなります。量をたっぷり使うために安いものを選びましょう。

私は個人的には大型ドラッグストア、大型日用品店で売っているプライベートブランドのものが安いのでおすすめです。

また、ベビー用品コーナーに陳列されているベビー向け保湿剤もあなどれませんよ。

低刺激であることに加えて、意外と安いです。

 

安価であると保湿効果がイマイチなのでは?と思う方もいると思います。

その対策は下のほう↓4.ワセリンを大活用する。 で述べていますので参考になさってください。

 

 

2.処方の活用をする。

 

1は、市販品を自分で購入するという前提での話ですが、実は保湿剤も薬と同じように処方として医師から出してもらうことができます。

それには医師の診察が必要ですので、受診時に相談してみましょう。

軽度の乾燥では処方に至らないことが多いのですが、たとえば乾燥しすぎて湿疹や傷ができていると、対処が必要なレベルなので処方してもらえる可能性が高くなります。また、症状がひどいと皮膚科にかかってくださいと言われることももちろんあります。

 

しかしながら、保湿剤が処方されたと言っても、小ぶりなチューブ入りのもの1本だけなど、

どうみても2~3日で使い切っちゃうでしょう!という量しか処方されないことがよくあります。

そこで医師に、「〇本、出していただけると助かります。」など希望の本数を伝えたりできるといいのですが、

…言いにくいですよね。

私も、手が荒れており皮膚科に定期的に受診して炎症を抑える塗り薬と保湿剤を処方してもらっていますが、

「先生、多めに出してもらえるとうれしいんですが…。」などとは言えずにもじもじしています。

 

ですので、現実的には処方で多少もらえてラッキーと思っておいて、

あとは市販品で安価で量のあるものを常備しておくのがよいと思います。

 

 

3.お風呂直後に塗る。ローションタイプなら水分を拭き取る前に塗る。

 

保湿剤を塗るタイミングはとっても大切です。

入浴直後は血行が良くなり、皮膚も柔らかくなっているため

保湿剤をぐんぐんと吸収してくれます。

ですので入浴直後に塗りましょう。

入浴は、訪問入浴、訪問看護、ヘルパーさん、デイサービスなどを利用している際に実施しているという方は多いと思いますので、入浴直後の塗布をスタッフに依頼しましょう。

 

さらに、ローションタイプならば

入浴後、タオルで全身を拭く前に塗るといいんです。

つまり、全身ビタビタの状態の時に塗るんです。

手のひらに少し多めにローションを出しましょう。

それを両手で全身に広げます。滑らせるようにささーっと全身なでます。すると驚くほど保湿剤が伸びます。

その後タオルでとんとんと押さえ拭きするように水滴を拭いていきます。

すると、全身保湿剤の薄い膜で覆われたような感じになります。

かなり少ない量で全身に塗れるんです。

体に付着していた水分と混ざって伸びるので、まさに節約になります。

この方法は節約になることに加えて、皮膚が弱い高齢の方にとっては

塗るときの摩擦刺激が少なく済むので、皮膚にも優しいんです。

注意することは、クリームタイプだとこの方法はうまくいかないので、やらないほうがよいです。クリームタイプだと体に残った水分とクリームがうまくなじまないため、伸びません。こびりつくようになって大変なことになります。

ですので、クリームタイプの場合はタオルで水分を拭き取った直後に塗るようにしてください。

 

 

4.ワセリンを大活用する。

 

前述しました通り、ワセリンは保湿剤ではなく、いわば「保護剤」です。

ただの油の膜です。ですので、水分を与える役割はありませんが、

保湿剤によって与えられた水分を逃げていかないように油で蓋をする(保護する)役割は抜群です。

ですので、ローションタイプやクリームタイプの保湿剤を使用したあとに、

乾燥が気になる部分にはワセリンを重ね塗りすることで、

保湿効果が長続きします。

しかし、最大の敵はベタつきがずっと残るということです。

手に塗ると大変なことになりますね。しばらく何も触れません。

対策としては、特に乾燥がひどい場所のみや動作に影響しないような場所(すねや二の腕など)に部分的に使うことをおススメします。

寝たきり度の高い方への使用は良いかもしれません。

 

また、経済的な面でも

安価な保湿剤とワセリンのダブル使いはおススメできます。

一般的に値段が高い保湿剤は、保湿効果が長持ちすることがウリである場合が多く

安価なものはそれに比べ効果が値段相応なことが多いのです。

しかし、安価な保湿剤でもワセリンを重ねることで、保湿効果は格段に長続きします。

なんといっても、ワセリンも安価ですから、高価な保湿剤を買うより

安価な保湿剤とワセリンというセットで常備しておくほうがお得です。

 

個人的な印象ですが、在宅療養をされている方々は

ワセリンを常備しているご家庭が多いですね。

ワセリンはいろいろなことに使えるからかもしれません。

ですので、案外追加で買わなくてご家庭にあるものを使用できるかもしれませんね。

 

 

いかがでしょうか。

これからますます乾燥が気になる季節になります。

一つでも「いいかも!」と思った方法があれば、ぜひ試してみてください。