訪問看護師まさこの介護全力応援日記

介護を少しでも楽に!をコンセプトに、介護に奮闘しているみなさまを一人で全力応援しています。

訪問看護師が本当に伝えたい、介護が楽になる3つの心得

 介護は終わりが見えません。

いつまで続くのだろうという気持ちになることもあるかもしれません。

 

介護がこれから始まる人、長年続けて来た人、家族の介護疲れが気になる人、

これから挙げる3つのことを少しだけ参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

1、情報共有しやすい環境を整える

 自宅で介護をしている場合、多くの人が介護保険でさまざまなサービスを利用していると思います。ヘルパー、訪問入浴、訪問看護、デイサービス、ショートステイ…などなどたくさんのサービスがあります。

 

たくさんのサービスを利用することで介護も格段に楽になりますし、たくさんのプロフェッショナルが関わるので心強いですよね。

でも困るのが情報共有の手間。

 

尿や便は出たか、食事量はどうか、熱はあるのかないのか、水分はどれだけ摂っているのか、昨日の受診結果はどうだったか、

などといった質問をいろいろな場所、いろいろな人に聞かれます。

 

みんな情報が欲しいので仕方ないのですが、

 

同じこと何回も聞かれると、だんだん疲れてきますよね。

 

これを回避しましょう。

 

そのために活用するのが壁掛け用のカレンダーです。

ひと月ごとにめくるタイプで数字の下に少しだけ文字を書くスペースがあるものだと良いでしょう。

 

日付の下に、下記の要領でその日のことを書きます。簡単な数字や記号で書くことがポイントです。

 

排尿があれば正の字で記録

排便があれば〇や◎で

下剤を使ったのであれば「ゲ」と書くなど

熱が出たとき、発疹が出たときなど、変化があったときも記入しておくとよいでしょう。

 

記号や決まりごとは自由に決めてください。

 

看護師やヘルパーによく聞かれる事項に絞って書いても良いでしょう。

オリジナルのマークを作ってもおもしろいかもしれません。

 

尿の管が入っている人は尿量を書いていました。

便の量を観察する必要がある人は便の量を〇の大きさで表現していました。

大きな〇が濃い字でついていたりするとクスッと笑えてしまいます。

 

 

介護ノートなどをきちっと作って記録していく人もいますが

カレンダーをおすすめします。

なぜなら書くスペースが限られているため、簡単に必要な情報だけ書く習慣がつき、

それが結果的に日々の負担軽減につながるからです。

 

また、一目で多くのスタッフに情報を知ってもらうことができます。

スタッフが訪問したタイミングで介護者が不在でも問題なく情報が伝わります。

 

 

さらにカレンダーだと一ヶ月間の経過全体を見られるので

1週間前、2週間前との違いなどが評価しやすいのです。

それは体調不良の早期発見にもつながります。

 

そして受診の時にはそのカレンダーをスマホで撮影しておけば良いのです。主治医や看護師から最近の様子を聞かれた時に撮影したカレンダーの画像を参考にすれば、一週間、数週間、一ヶ月単位での経過を伝えやすくなります。

 

 

ぜひ、試してみてくださいね。

 

 

2、「泊り」のサービスを「定期的に」利用する

 

 

  

 介護保険サービスでは、ショートステイ(短期入所療養介護)というサービスがあります。宿泊期間は2~3日から十数日など、さまざまです。ケアマネージャーと相談のうえ、介護保険の区分限度額内であれば希望に応じてケアプランに組み込めます。

 

 

介護の負担を少しでも軽くするには、

介護から「離れる」時間を持つことが重要です。

デイサービスでも数時間離れることにはなりますが、あっという間で買い物や家事をしているとすぐ過ぎてしまいますよね。

 

ですから、きちんと長い時間離れて息抜きができるようショートステイを活用しましょう。

 

 しかし

 

「旅行や冠婚葬祭などやむを得ない場合に使うものでしょう?」

 

「かわいそうだな、申し訳ないかな。」

 

そんなふうに思う人もいるかもしれません。

 

 

昔は家族が介護してあたりまえという風潮でした。

でも現在は違います。介護は家族のみで抱え込むものではありません。

地域で支える時代です。介護保険サービスをフルに活用するべきなのです。

最近は泊りのサービスを定期的に利用する人が格段に増えています。ショートステイ側も介護負担軽減のための定期利用に理解があります。

 

介護負担軽減=レスパイト  と介護職のあいだでは言いますが

「レスパイト目的でのショートステイ利用」という言葉があたりまえのようによく交わされています。介護負担軽減目的でショートステイを利用するのは当たり前なのです。

 

実際の使い方は

一週間(六泊七日)を月に1回使うという人

二泊三日を月に2~3回使うという人

などさまざまです。

家族のライフスタイルに合わせて月のうちでどのように組み込むかは自由です。 

 

 

念押ししますが、

「定期的に」使うことが重要ですよ。

 

月に一度や二度、必ず息抜きできる期間があると思うだけでだいぶ楽になれますよね。

 

 

そして、さらに追加でやれると良いというのが、

普段から2ヶ所のショートステイ事業所を利用しておくということです。

 

なぜなら

 

ショートステイ先の空きが全然ない‼

何ヵ月も前から予約しないと使えない!!

急にすぐ使いたいのにいつも行っているところが空いてない‼

という時に役立つからです。

普段から2か所利用しておいて、もしもの時の受け皿を多く確保しておくという考え方です。

 

ぜひ、ケアマネージャーと相談してみてはいかがでしょう。 

 

 

3、「家族がきちんと介護してあたりまえ」という考えを捨てる 

 

 これまでは実践的な内容を述べてきましたが、

最後は心の持ち方です。

個人的にはこれが一番重要で、難しいことなのではないかと思います。

 

 

実は1、2、で提案した心得の根本にはこの考え方が存在しています。

 

つまり「自分たち家族でやらなくてはいけない」という考えを捨て、

「上手に人に任せる」

ことができるようになるのが大事なのです。

 

 

訪問看護師として訪問中、

ずっと部屋に一緒にいてケアのサポートや私に気を遣ったりしてくださるご家族がいます。

時には「あ、ごめんなさい。今日はここがまだやってなくて…。」「私じゃ全然うまくできないんですよね。」

ということを話すご家族がいます。

 

その言葉の根底にはどのような思いがあるのでしょう。

 

介護をきちんと全部やらなくてはいけない

上手にやらなくてはいけない

 

そういった思いがあるように感じます。

 

私たちサービススタッフはご家族が介護をきちんとやっているかを評価しに来ているわけではありません。

無理なくやれているだろうか、何か手助けできることはないだろうかという視点で見ています。

また、上手にやることを求めていません。訪問看護師やヘルパーはプロですから、比べてはいけません。

 

あなたらしいやり方で、やれる範囲で介護をすればいいのです。

そしてできないことはできないと認識し、周囲に任せることです。

 

 

「任せる」とはどういうことか。

 

介護保険でのサービスを増やす、内容を再検討する

家族の他の誰かと役割分担する

訪問系のサービスが入る時にわざわざ家族が在宅せず、出かける

 

他にも

負担感や困り事をスタッフに話すことでも

精神的負担を他人に「任せる」ことになるかもしれません。

 

ぜひ自分から、意識的に「任せる」ことができるようになってください。

 

 

冒頭でも述べましたが

介護は終わりが見えません。

ですから、無理なく長く続けられる方法で毎日過ごしていくことが重要です。

 

肩の力を抜いて、周りを見渡してください。

ケアマネージャーをはじめ、様々なサービススタッフ、家族、地域の人たちなど

たくさんの人があなたを支えるために両手を広げてスタンバイしています。

 

任せましょう。

 

そのために心の持ち方を、見直してみてください。